大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

東京地方裁判所 平成7年(ワ)1703号 判決 1995年6月30日

主文

一  被告は原告に対し、別紙物件目録(二)記載の工作物を収去して同目録(一)記載の建物を明渡せ。

二  被告は原告に対し、別紙物件目録(三)記載の建物を明渡せ。

三  被告は原告に対し、金五〇〇万三八三七円並びに平成六年一〇月一八日から右第一項の明渡済みに至るまで一か月金二〇〇万円の割合による金員及び同月八日から右第二項の明渡済みに至るまで一か月金二五万四六〇〇円の割合による金員を支払え。

四  訴訟費用は被告の負担とする。

事実及び理由

原告は主文と同旨の裁判を求め、別紙のとおり請求原因を述べた。

被告は請求棄却の判決を求め、請求原因一乃至六は認めると述べた。

右争いのない事実と成立に争いのない甲二、三によれば、原告主張どおりの未払賃料及び損害金が発生していることを認めることができる。

したがって原告の請求には理由があるから認容し、仮執行宣言については、相当でないからこれを付さないこととし、主文のとおり判決する(なお、被告は、本件口頭弁論終結後、その再開を強く申立てている。原告被告間においては本件の他多数の解決必要な紛争が存在していることは双方の弁論から明らかであることから裁判所としても真の紛争にその攻防を絞り全体的和解的解決をするように勧告したにもかかわらず、被告はこれを拒否した。そこで、当時の被告訴訟代理人に当初の反訴等での主張の予定の撤回を確認したうえ、弁論を終結したものである。右の経過を見れば被告がその主張をする機会を与えるために、弁論を再開すべきものとはいえない。)。

請求原因

一 原告は、昭和五一年一月三一日、被告に対し、次の約定に基づき、別紙物件目録(一)記載の建物を含む一棟の建物(以下、「本件倉庫」という)を賃貸し、引渡した(以下、「本件賃貸借契約(一)」という)。

1 賃貸期間 昭和五一年二月一日から昭和五六年一月三一日までの五年間

2 賃料 一か月金一〇〇万円毎月末日限り、当月分を持参もしくは送金して支払う。

3 保証金 金五〇〇万円

4 使用目的 倉庫及び会議室

5 使用損害金 契約終了後、賃借人が明渡さない時は、賃貸人は一〇日間以上の猶予期間を指定し、賃借人はその期間経過後は、明渡済みに至るまで、賃料の二倍相当額の使用損害金を支払わなければならない。

6 無催告解除特約 賃借人が賃料の支払を三か月以上怠ったときは、ただちに契約を解除することができる。

二 被告は、右の本件賃貸借契約(一)に基づき、原告の承諾を得て別紙物件目録(二)記載の屋上看板塔を設置した。

三 原告は、平成五年六月二六日、被告に対し、次の約定に基づき、別紙物件目録(三)の建物(以下、「本件事務所」という)を賃貸し、引渡した(以下「本件賃貸借契約(二)という)。

1 賃貸期間 平成五年六月二五日から平成六年六月二四日までの一年間

2 賃料

一か月金一四万一一九〇円ただし、マンション管理費等の雑費金一万三八九〇円を含む。

毎月三〇日限り、翌月分を送金して支払う

3 敷金 金三八万一九〇〇円

4 使用目的 事務所

5 使用損害金 契約終了後、賃借人が明渡さない時は、賃借人は明渡済みに至るまで、賃料の二倍相当額の使用損害金を支払わなければならない。

6 無催告解除特約 賃借人が賃料の支払を三か月以上怠ったときは、ただちに契約を解除することができる。

四 その後、本件賃貸借契約(一)及び(二)は、いずれも更新された。

五 被告は、平成六年六月二九日、本件賃貸借契約(一)及び(二)の賃料の一方的な値下げ及び賃料の供託を原告に通告し、全く賃料を支払わなくなった。

六 原告は被告に対し、同年一〇月七日到着の書面により、無催告解除特約に基づいて本件賃貸借契約(一)及び(二)を解除し、かつ、本件倉庫については明渡の猶予期間を一〇日間と指定した。

七 被告の未払賃料及び本件倉庫の明渡猶予期間満了までの賃料相当損害金については次のとおりである。

1 本件倉庫分

合計 金四五四万八三八六円

(内訳)

(一) 賃料

平成六年六月分 一〇〇万円

平成六年七月分 一〇〇万円

同 年八月分 一〇〇万円

同 年九月分 一〇〇万円

同 年一〇月一日から同月七日まで(日割り) 二二万五八〇六円

(二) 賃料相当損害金

平成六年一〇月八日から同月一七日まで 三二万二五八〇円

2. 本件事務所分

合計 金四五万五四五一円

(内訳)

賃料(雑費を含む)

平成六年七月分 一四万一一九〇円

同 年八月分 一四万一一九〇円

同 年九月分 一四万一一九〇円

同 年一〇月一日から同月七日まで(日割り) 三万一八八一円

八 よって、原告は被告に対し、本件賃貸借契約の解除に基づき別紙物件目録(一)、(二)、(三)の収去・明渡し並びに未払金(賃料及び損害金)五〇〇万三八三七円及び本件倉庫については明渡猶予期間の経過後である平成六年一〇月一八日から明渡済みまで賃料の二倍相当額である一か月金二〇〇万円の割合による金員、本件事務所については同月八日から右明渡済みまで雑費を除く賃料の二倍相当額である一か月金二五万四六〇〇円の割合による金員の支払を求める。

物件目録(一)

所在 江東区亀戸六丁目六番地四

家屋番号 六番四の二

種類 倉庫事務所

構造 鉄筋コンクリート造陸屋根六階建

床面積 一階一四二・九六平方メートル

二階 二六・三一平方メートル

三階一四二・九六平方メートル

四階一四二・九六平方メートル

五階一四〇・四七平方メートル

六階 七六・八〇平方メートル

右のうち、六階部分を除く、一階、二階、三階、四階、五階の全部(合計五九五・六六平方メートル)

物件目録(二)

物件目録(一)記載の建物の屋上に設置された左記工作物

高さ約二・八メートル、横約一一メートルの面が二面、高さ約二・八メートル、横約五・五メートルの面が二面、合計四面で構成された屋上看板及び支柱

物件目録(三)

(一棟の建物の表示)

所在 大阪市淀川区西中島七丁目一番地二

建物の番号 チサンマンション第8新大阪

構造 鉄骨鉄筋コンクリート造陸屋根地下一階付一四階建

床面積 一階 四八六・六八平方メートル

二階ないし一一階 各五九二・〇九平方メートル

一二階ないし一四階 各四〇六・一二平方メートル

地下一階 五八三・九〇平方メートル

(専有部分の建物の表示)

家屋番号 西中島七丁目一番二の一三一〇

建物の番号 一三一〇

種類 居宅

構造 鉄骨鉄筋コンクリート造一階建

床面積 一三階部分 四〇・一六平方メートル

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例